宮浦 晋哉|キュレーター

古いスタイルの産地を、
フリースタイルな男が変えていく。

ー なぜそこまで産地に思い入れを持つのでしょうか?

宮浦:正直、僕は文化や伝統にはあまり興味がなくて。今している取り組みも、衰退していく産業を活性化させることに価値を感じたから。お金をたくさんもらっても、自分の楽しさを実現しているだけでもきっと飽きてしまう。だったら、ちょうどいい課題だったのかなと。やっぱり、やりがいだよね。

ー やりがい……耳の痛い言葉です(笑)。セコリ荘の次なる展望が気になります。

宮浦:そろそろ、セコリ荘の看板は緩やかに外していこうと思ってるんだよね。

ー え、閉店されるんですか?

宮浦:いやいや、月島の同じ場所で変わらずやっているので遊びにきてください(笑)。今までゆるーくやってきて、セコリ荘としては売上を順調に伸ばしてきたけど、産地全体としては売上が下がったまま。そこのギャップが埋まらないことには違和感を感じている。おかげさまで、自分のやりたいことがやれる土壌はある程度できあがってきたから、これからは本当に業界のためにインキュベーションとなる新たな場をつくらなくてはいけないなと。「セコリ荘」として何かを生み出すっていうのはもうおしまい。『ブームにしたのは皆だろ それを文化にすんのも皆だろ』(2017年6月20日放送『フリースタイルダンジョン』晋平太vs漢a.k.a GAMI戦より。編注:名勝負です)ってことだよね。この先、僕ひとりでやっていっても埒が明かないので、プレイヤーの分母を増やす取り組みをしていきたいと思って。

ー 今年5月に始まった「産地の学校」もその一環でしょうか?

宮浦:まさにそう。「産地の学校」では、繊維産地やアパレル産業に携わる人材の育成などを通して繊維産地の活性化を目指している。生徒もとても熱心な方ばかりなので、僕も頑張らないといけない。今、業界が「やばいやばい」っていわれてるけど、「やばい」の次のアクションがまだまだ足りてない。けど、僕らの世代が小さな努力を積み重ねていけば、産地と業界に新たな価値観を浸透させていくことができて、新たな仕組みもデザインできると思っている。きっとそれは、大きな「やりがい」にもなるよね。

ー 「僕らの世代」から変えていく、頼もしい言葉です! 次の世代、そのまた次の世代に向けてやるべきことは、だれもが考えないといけませんよね。

宮浦:業界の未来は僕らのコミュニティに掛かっている、と言ったら言い過ぎかな(笑)。でもそのくらいの意気込みはあるし、産地にはまだまだポテンシャルがあるので、これからも人生を賭けていきたい。

ー ありがとうございました。お話に出てきたインキュベーションスペースも楽しみにしています!