宇賀那 健一|映画監督

「なにが、浅野忠信だ!」と、
嫉妬心をエネルギーに変換

ー そもそも宇賀那さんが俳優を始めたきっかけは、何だったんですか?

宇賀那:高校時代につき合っていた5つ年上の彼女が、浅野忠信さんの大ファンだった。『なにが、浅野忠信だ!』。そう思って、すぐにDVDを借りにいったんだけど、いざ観て見たら浅野忠信さんはめちゃくちゃカッコ良くて、作品も信じられないくらい面白かった。

ー どの作品を観られたんですか?

宇賀那:その時は、『鮫肌男と桃尻女』と、『地雷を踏んだらサヨウナラ』と、『フォーカス』かな。大きなショックを受けながら、彼女にそんなことを話したら、舞台版『地雷を踏んだらサヨウナラ』のキャストを募集していることを教えてくれた。それを聞いて、大して募集要項も読まずに出した。

参照:https://movies.yahoo.co.jp/movie/鮫肌男と桃尻女/159696/

ー え、読まないで!?

宇賀那:そう(笑)。とにかく出たい!俺も浅野さんと同じようにカッコ良い映画に触れていたい!と思ったら、居ても立ってもいられなくなって、浅野忠信さんへの想いだけをツラツラと書いた履歴書を書いて応募した。

ー 未経験ですよね。恐くはなかったんですか?

宇賀那:今考えたら「演じる」ということに対して、もっとビビったりしてもおかしくなかったと思うけど、それだけ浅野さんの出演されていた映画から衝撃を受けていたんだと思う。

ー 「衝動」に突き動かされたってことですね。オーディション当日はどんな感じでしたか?

宇賀那:オーディション当日になり、会場で周りを見渡すと他に受けに来た人はやたら年上が多くて……。それもそのはず、僕は当時17歳で、募集していたのは35歳以上の役者だったんだよ! ちゃんと募集要項を読めばよかった……。怯んでいてもしょうがないので、自己PRで、完コピしていた“一人鮫肌男桃尻女”を披露したら開始2分くらいで止められて(笑)。でも、なぜか気に入られて役をつくってもらえた。それが僕の俳優デビュー。

ー 破天荒を絵に描いたようなデビュー! たしかにハチャメチャですが、考えるより先に行動を起こしたことでチャンスが生まれたということですね。

宇賀那:そうだね。何が原動力だったのかな。まぁ、元々映画自体は好きだったからね。幼稚園の時に登園拒否してたのがきっかけで……。

ー すみません。今からは、まったく想像がつきません(笑)。

宇賀那:あれは登園初日の出来事。トイレへ行って戻ってきたら、みんなが“宇賀那待ちの空気”を出していたのがすごく嫌だった。で、登園拒否。

ー 幼稚園へ行かない間は何をされてたんですか?

宇賀那:暇なので、毎日親の買い物へついて行ってた。帰りに必ず、僕の好きだった『アンパンマン』を借りてくれるんだけど、母親がスプラッター映画が大好きだったので、『アンパンマン』にもれなく1枚スプラッターがついてくる。今思えば自分の顔を他人にあげるアニメと、顔が吹っ飛ぶ映画ばかり観てたんだなあ(笑)。