吉村 界人|俳優

芝居だけは、言葉で表現できない


ー 役者になりたいと思い始めたのはいつからですか?

吉村:あまり覚えていませんが、高校生の時だと思います。でも、その時は頭の中で思っていただけで行動には移していなかったですね。なんとなくかっこいいなぁって憧れる「何か」の内の一つでした。役者、ミュージシャン、モノを作る職人、洋服屋、外資系企業で働く……、その中の一つでしかなかったですね。

ー 映画自体は好きだったんですか?

吉村:そうですね。映画には何かしら携わりたいと思っていました。でも、監督とか、プロデューサーとか、いろいろな役割があると思うんですけど、どれも俺には無理だなぁって思っちゃって(笑)。俳優なら一番早く、映画に携われるんじゃないかとは思っていました。

ー 大学を中退して、俳優の世界へ入ったとお聞きしました。そもそも大学へ進学しようと思ったのはなぜですか?

吉村:やることがなくなるのが怖くて……。とりあえず、大学に通っていれば、友達に「何してるの?」って聞かれても、「大学に通ってる」って言えるじゃないですか(笑)。何もしていないと何も言えないし、1日の時間も長いし……。それに、行ってみれば何かあるんじゃないかって。

ー ところが、何もなかったと!(笑)

吉村:大学では……、何も見つけられなかったですね。高校が大学の付属だったので、法律の学部にしか行けなかったんですよ。でも、法律にぜんぜん興味が持てなくて。馴染めなくてきつかったですね。

ー それからしばらくですよね?

吉村:そうですね。シンプルに朝起きて、飯食って、映画を観て、寝る。また、起きて、映画を観て、寝る。起きて、音楽を聴いて、寝る。こんな生活を365日ずっとやっていました(笑)。

ー ある意味贅沢な暮らしですね(笑)

吉村:いやいや、本当に甘えていました。実家だし、アルバイトもせずに親に頼っていて…。そんな時に今の事務所のオーディションの情報を見つけて、挑戦しました。

ー 2014年にデビューされて以来、さまざまな映画やドラマにご出演されていますが、俳優業は天職だと思いますか?

吉村:……思わないです。まず、俳優という職業がわからない。仕事のやり方や、何をしたらいいのかっていうこともまだ掴めていなくて……。だから、自分で向いているとは自信を持って言えないですね。摸索中と言うか。

ー とても伸び伸び演じられているように感じていたので、意外です。演じることは楽しいですか?

吉村:楽しいとはちょっと違うかもしれないですね。生きていく上で必要なことというか、言葉では表せられない感覚です。でも、逆に言えば言葉で表現できないのは芝居だけなんですよ。音楽にしても何にしても、「こういう感じ」って説明できるんですけどね。現場へ行って、「今日も楽しかったー」っていうのは毎回思えないし、芝居をやっている時も「楽しいなー」っていうのはないですね。だからこそ、やり甲斐があるんですが。