小林 悦子|芸術家

人生は螺旋階段みたいなもの。

パリで活動を始めてから、早い段階でギャラリーと契約ができたり、フランス以外にイギリスやアメリカのギャラリーでも展示が決まった。最初はうれしかったんだけど、展示会は同じような企画で近い時期にくることが多かったし、うまくフランス語も話せなかったので時期や内容の交渉もできなくて。無理のあるスケジュールで頑張って作品を描いていたんだけど、だんだんその時代によく売れるスタイルに飽きてきて、自分の作品のコピーを作っているロボットのような気分になってきた。そんな矢先に、ギャラリーが次々と潰れたり、「59 RIVOLI」が工事に入ったりして、絵を売る場所がなくなって……。いつでもあると思っていたものがなくなった時に、本当に必要なものと要らないものがハッキリわかったよね。

でも、それはとても良い経験だった。人生って螺旋階段みたいなものだから、登っていくと良いことも悪いことも繰り返すじゃない? 魂のレベルが上がっていれば、同じような問題に直面した時にもっと早く切り抜けられるようになるからね。いずれにせよ、どんな時も行動を起こすのが大事。必要なものはあとから自然とついてくると思う。日本にいた時は美大へ行けなかったことを気にしていたけど、振り返れば逆に良かったのかなって。おかげで、今は日本やいろいろな国で展示をしたり、アート活動をしたり、フランスへ行く前に思っていた「絵を描いて生きていく」ことを実現したわけだからね。今は死ぬまで絵を描き続けて、いろいろな場所で展示をすることで、みんなが幸せな気分になってくれたらいいなって思っています。