小林 悦子|芸術家

自分の感性でアートを買う文化。

私が行ったのが2001年なので、まだパリ市が「59 RIVOLI」を買い取るギリギリ前。そもそも、スクワットという文化を知らなかったからね。不法占拠したアトリエだということも知らなくて、毎日のん気に絵を描いていたよ(笑)。いろいろな国の芸術家たちが住むようになって、みんなが家族みたいな感じで楽しかったな。絵を描いては、飲んで騒いでという生活でさ。スクワットしてるから家賃もかからないし、水道やガス、電気のお金もかからない(当時は誰かがどこかから引っ張ってきてたんだけど)。しかも、アート・バブルみたいな時代だったから絵もガンガン売れた。フランス人だけでなく、近隣の国々の人たちも買いにきてくれたんだよね。

フランスには、アートを買うという習慣が普通にあって、若い子でも自分が気に入ったと思ったら、自分の家に飾りたいと言って買ってくれるんだよね。有名な作家でもあろうとそうでなかろうと、自分の感性で選んでくれる。それは日本とは違うところだったので、私はとても感動した。私の最初の頃の作品も、小さな子どもが「これ欲しい、飾りたい!」って言ってくれて。純粋に良いって選んでくれるのはうれしいことだよね。日本も、もっとそういう風になってくれたらいいのにな。